東寺真言宗声明大全刊行会
― 会  員  便  り ―
会員便り第6号 1997/6/15発行
発行人 〒601 京都市南区九条町1
東寺真言宗宗務庁内
東寺真言宗声明大全刊行会
代表 松下 隆洪

馬忠理 中国・邯鄲市(かんたんし)文物処研究員
今も日本各地に残る中国古代舞楽
『蘭陵王(らんりょうおう)入陣曲』の謎
第3回「環渤海考古国際学術討論会」論文より

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■表紙写真:神宮舞楽面
伊勢神宮ではお土産品として、今も「蘭陵王」の面が売られているが、この面がどのようにして千五百年前、中国から伝えられたかを知る人は少ない。
■伊勢神宮土産品「蘭陵王」の面、説明書から
『 神宮舞楽に蘭陵王というのがあります。普通に陵王と呼ばれ頗る芽出たい曲で、古くからお祝いや節会などに度々演奏せられます。蘭陵王は昔、中国に蘭陵王長恭という智勇にすぐれた王がおりましたが、容姿が優美な為戦場で常に恐ろしい面を著けて出陣し勝利を収めました故事から、王の陣頭に於ける勇壮活発な姿を象どつたのがこの舞楽の由来となっております。この面は、そのときの舞人装束に用いるものでありますが、頭に竜頭を頂き鼻のとがつた恐ろしい顔をいたしております。
 また、舞楽面は能面が写実的であるのに比べてかなり象徴的であるのが特色で、その大きさは巨大な伎楽面と比較的小型な能面との中間となつております』